症例集
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症例集 case report

犬の認知症

症例の概要

人間と同様、動物にも認知症は存在します。

特に昼夜逆転や夜鳴きなどは、ご家族にとって深刻な問題になりやすい症状ですし、

ご家族のことがわからなくなったり、以前は喜んでいたことに無反応になったりするのは寂しいものです。

この頃すっかり年を取ったように感じる…というかた、以下のような症状はありませんか?

・トイレに失敗するようになった

・以前はできていたコマンドができなくなった(おすわり・まて など)

・昼夜逆転している(夜中に起きて日中寝ている)

・家具などの隙間に入り込んで、出てこられない。(後ろに進めない)

・声をかけたり触ったりしたときの反応が薄い

思い当たることがあれば、獣医師にご相談ください。

当院では、どうぶつの認知機能障害に対して医薬品のほかに、サプリメントや漢方薬などを用いた症状改善策をご提案しています。

経過および検査

症例1:サプリメントによる治療

16歳の柴犬さんです。

歩いていて壁に突き当たったまま頭を壁に押し付けるヘッドプレスという動作が見られました。

次第に、散歩のとき歩いているうちに進路が左にずれる、読んでもあまり反応がないなど、認知機能不全の症状が複数出現しました。

 

症例2:医薬品+介護が必要なパターン

17歳のダックスさんです。

椎間板ヘルニアで後肢が動かず、ほぼ寝たきりの生活を続けているうちに酷い夜鳴きや昼夜逆転症状がみられるようになりました。

半年ほど老犬ホームに預けていた間に起きた大きな変化に、飼い主様も戸惑っておられるご様子でした。

夜中に大きな声で鳴き続け、ご飯を食べさせても、お水を飲ませても、おむつを替えても鳴きやまない。

抱っこすれば少し収まるものの、寝付いたと思っても30分ほどでまた夜鳴きが始まる…。

愛情をもって介護されているからこそ、大変消耗されているご様子に、私たちも心が痛みました。

治療

症例1:サプリメントによる治療

この子がトライしたのはサプリメントによる治療です。

投与を始めて1か月ほどで、上記の症状が徐々に改善しはじめました。

自分の意志でUターンできるようになり、呼びかけると反応を示してくれます。

認知症のすべての症状が消えるわけではありませんが、以前よりも高いQOLを維持できています。

ほかにも同様のサプリメントを飲ませている患者さんからは

“ぼーっとすることが減った”“段差で詰まったり転んだりしなくなった”“徘徊がおさまった”などのお声をいただいています。

 

症例2:医薬品と介護の改善によるケア

この症例の場合はすでに飼い主さまが激しく消耗していたことに加え、ほかの疾患も併発していたため

入院して病気の治療をしながら、認知機能不全の症状改善も同時に行うことになりました。

いくつかの抗不安薬、安定剤などを試みて夜鳴きは徐々に改善しましたが、

それだけでは一緒に快適に暮らすにあたってまだ十分とは言えませんでした。

・朝と昼にできるだけ外に出て日光浴をすることで昼夜の感覚を取り戻すこと。

・ある程度の遮音性を確保できるお部屋を用意すること。

・吠えるたびに構うのはやめて、夜はごはんとお水、おむつの交換が終わったら多少泣いていてもそっとしておくこと。

これらのことを実践していただいて、飼い主さまもわんちゃんも夜にまとまって眠ることができるようになりました。

獣医師のコメント

激しい夜鳴きには鎮静剤や睡眠薬を使用しなければならない現実もあります。

しかし、不安感や不快感など、夜鳴きの原因を探して取り除いてあげることで、その子らしい生活を維持しながら共に生活することができるかもしれません。

動物たちの高齢化が顕著になってきた今、この問題で困っている飼い主さまはたくさんいらっしゃいます。

しんどくなってしまう前に、一度私たちにご相談ください。

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