症例集
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症例集 case report

猫のリンパ腫

症例の概要

リンパ腫は体のありとあらゆるところに発生する腫瘍で、よく「血液のガン」などと表現されます。

「リンパ腫」と一括りにされる腫瘍の中にはいろいろな病型があり、悪性度も、治療のアプローチも型によって異なります。

経過および検査

猫のリンパ腫

こちらの猫ちゃんは鼻の奥にリンパ腫ができてしまいました。

呼吸のたびにぶーぶーと音が鳴ってつらそうで、食事も思うように飲みこめません。

内視鏡(胃カメラ)を使って、鼻の奥にできた腫瘍をできる限り取り除き

なんとか鼻呼吸と嚥下ができる状況になりました。

正常な組織との境界があいまいな腫瘍ですので、完全に取り除くことは不可能です。

残った腫瘍が再燃しないようにするため、化学療法(抗癌剤治療)が必要でした。

治療

この猫ちゃんの場合は、抗がん剤の多剤併用療法である「UW-25プロトコール」という治療法が選択されました。

治療期間はなんと25週間。長いですね…。

副反応に注意を払いながら、数種類の抗がん剤を決まったタイミングで投与していきます。

飼い主さまも猫ちゃんにも、負担が少なくはない治療ですが、現時点で最も効果的と考えられている治療法です。

半年間の抗がん剤治療をやりきった猫ちゃんは、今ではお薬を必要としない生活を送れています。

再発の心配はゼロではありませんが、快適な生活を取り戻すことができました。

獣医師のコメント

腫瘍(癌)の治療法として、「外科手術」「化学療法」「放射線療法」の3つが挙げられます。

実際には、外科手術で腫瘍を取り除いた後、細胞レベルで残っている腫瘍には化学療法を用いるなど、

複数の治療法を組み合わせて「寛解(検査上腫瘍が検出されない状態)」を目指します。

中でもリンパ腫は化学療法が奏効することの多い腫瘍で、当院では多くの症例が化学療法を行っています。

副作用が出ないように治療の強度を調節しながら行いますので

人医療で行う抗がん剤治療ほど過酷なものにならないことがほとんどですが、

長い治療の期間中、ご家族としっかり面談を行いながら二人三脚で治療を行います。

放射線治療は大学病院などの特殊な施設が必要ですので、必要に応じてご紹介をいたします。

さまざまな事情により、積極的な治療を行わない(あるいはできない)場合もございます。

緩和ケア(痛みや不快感を取りのぞくための治療)をご希望の飼い主さまにはサプリや内服薬、

介護のしかたなどのご提案が可能ですので、お気軽にご相談ください。

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