症例集
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症例集 case report

股関節脱臼 (後腹側脱臼)

症例の概要

股関節脱臼は交通事故や落下などの外傷をきっかけに発生することの多い疾患です。

股関節の形が悪かったり、ホルモン疾患などで筋肉量が減少している動物では、弱い外力でも脱臼してしまうことがあります。

脱臼した大腿骨頭が筋肉や神経を刺激することで痛みが生じ、地面に足を着けて歩くことができなくなります。

大腿骨がずれる方向によって治療方法が異なりますが、今回は後腹側脱臼についてご紹介します。

経過および検査

股関節脱臼のレントゲン画像

お散歩中に突然後ろ足を挙上し始めたとのことで来院されました。

触診の結果、右股関節を伸ばすと極端に痛がりました。

股関節を中心としたレントゲン撮影の結果、前背側脱臼※が確認されました。

(※前背側脱臼:股関節が頭側かつ背中側にずれている状態)

治療

脱臼整復時のレントゲン画像

全身麻酔をかけて股関節の嵌めなおしを行い、

アーマースリング包帯という足を閉じないようにする固定法を行いました。

約2週間の安静と固定ののち、自宅でリハビリをしてもらい経過観察としました。

大腿骨頭切除 手術後のレントゲン画像

しかしその3週間後、股関節の再脱臼を起こして来院されました。

もともと股関節の形に異常があったため

同じ治療を行っても再度脱臼する可能性が高いと判断し

2度目の治療は痛みを取り除くため大腿骨頭の切除を行いました。

その後の飼い主さんの懸命なリハビリのおかげもあり

現在では走ることも可能になりました!

獣医師のコメント

股関節脱臼は股関節を嵌めなおし適切な管理をすることで完治する子もいれば、

股関節周囲の構造に異常があり整復後に再脱臼してしまい手術が必要になる場合もあります。

どちらの治療についてもリハビリ管理など飼い主さんの協力が必要不可欠です。

股関節が外れた場合は早めの整復が治療の良し悪しに関わりますので

歩き方がおかしい等の違和感のある場合はすぐにご相談ください。

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