症例集
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症例集 case report

猫の便秘症(結腸亜全摘手術)

症例の概要

猫ちゃんに便秘症が多いことはご存じでしょうか?

便秘症の猫ちゃんの中には、長期間にわたって便が腸内にとどまることにより

結腸の筋肉や神経組織が障害を受けて「巨大結腸症」になることがあります。

こうなると結腸の蠕動運動ができなくなるため、排便は非常に困難になります。

経過および検査

便秘症に悩む猫ちゃんをご紹介します。

便は出ているもののコロコロした小さな便で、何度もトイレでいきんでは、嘔吐を繰り返します。

ウンチを出しやすくするための食事療法をしたり

調子が悪いときは病院に来て浣腸をしたりしてやり過ごしていましたが

飼い主さまと相談の末、根本的な解決を目指して手術をすることになりました。

治療

手術は「結腸切除術」と呼ばれるものです。

腸の運動機能が落ちてしまっている部分を切除し、正常な部分だけを残すことによって便秘症状を改善させます。

開腹してみると大腸の中には大量の便がありました。

それらをすべて摘出し、拡張した結腸を切り取って正常な腸の断端をつなぎ合わせました。

術後は流動食など、やわらかい食べ物からスタートして、少しずついつものごはんに戻していきます。

便秘症には併発疾患がある場合が多く、また手術に伴う合併症も少なくありませんので

注意深い観察が必要ですが、この子の場合は術後の経過は至って順調です。

現在、手術から1年が経過していますが便秘症の再発はありません。

獣医師のコメント

猫の慢性的な便秘症に対しては、多くの場合内科的治療をお勧めしています。

・サイリウムなど可溶性繊維を多く含む食事療法

・定期的な摘便や浣腸

・便を柔らかく、排泄しやすくする潤滑剤や緩下剤の投与

などの治療が行われます。

食べ物や環境にこだわりの強い動物ですから、

お気に入りのトイレがあるだけでお通じがよくなることもあります。

そしてこれらのケアではQOL(生活の質)が維持できない場合に、本症例のような外科的介入を考えます。

たかが便秘。されど便秘…。

おおきなトラブルになってしまう前に、早めの受診をご検討ください。

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