症例集
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症例集 case report

股関節脱臼(後腹側脱臼の非観血的整復)

症例の概要

股関節脱臼は交通事故や落下などの外傷をきっかけに発生することの多い疾患です。

股関節の形が悪かったり、ホルモン疾患などで筋肉量が減少している動物では、弱い外力でも脱臼してしまうことがあります。

脱臼した大腿骨頭が筋肉や神経を刺激することで痛みが生じ、地面に足を着けて歩くことができなくなります。

大腿骨がずれる方向によって治療方法が異なりますが、今回は前背側脱臼についてご紹介します。

経過および検査

股関節脱臼のレントゲン画像

「朝ソファから降りたとき着地に失敗してしまい、ずっと右後ろ脚を上げている」

とのことで、トイプードルさんがやってきました。

足の付け根あたりを触られると激しい痛みを訴えていました。

股関節を中心にレントゲン撮影を行い、後腹側脱臼※が確認できました。

(※後腹側脱臼:大腿骨頭がしっぽ側 かつ お腹側にずれている状態)

治療

脱臼整復後のレントゲン写真

まずは非観血的整復といって、関節を切開することなく脱臼をもとに戻すトライをします。

全身麻酔をかけた状態で足を引っ張って、外れている股関節を嵌めなおしました。

さらに再脱臼を防止するため、ホブル(足枷)包帯で足が開かないように固定し、

ケージ内で安静に過ごしてもらいました。

ちょっと辛そうな見た目ですが、本人は朗らかに入院生活を送っている様子でした。

どうぶつって強いですね。

10日後に包帯を外し、運動量を徐々に増やしていってもらいましたが

幸い再脱臼することはなく、治療終了となりました。

ホブル包帯装着時の様子

獣医師のコメント

股関節脱臼は股関節を嵌めなおして適切な管理をすることで完治する子もいれば

そもそも股関節周囲の構造に異常があり整復後に再脱臼してしまい手術が必要になる場合もあります。

どちらの治療についてもリハビリ管理など飼い主さんの協力が必要不可欠です。

股関節が外れた場合は早めの整復が治療の良し悪しに関わりますので

歩き方がおかしい等の違和感のある場合はすぐにご相談ください。

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